日本には淡水化や水処理の大手（重工や総合商社）はいるが、海中圧を活かしたモジュール型サブシー淡水化を迅速に実装して商用展開するスタートアップはほとんどいない。言い換えればFloceanが切り開いたスペースは日本にとっての青海（ブルーオーシャン）だ。既存の巨艦は技術力はあるが、スピードとリスクを取って島嶼や工業地帯に素早く導入する“ベンチャー流の実行力”を欠いている。ここを先に埋める者が国内外の案件を先取りする。

日本は島国であり、半導体や製造業の用水需要も高まっている—まさに今がFlocean型モデルを日本で起動させる好機だ。B-O-O（Build-Own-Operate）で自治体・工業団地と短期実証を回し、地場重工と協業で製造供給網を作れば国内需要を押さえつつアジア島嶼国へ輸出攻勢をかけられる。官民連携と地場資本を使ってプロジェクトを量産化すれば、脱炭素と安価な水供給を同時に奪取できる──日本よ、腰を上げよ。

日本にはルネサス、東芝、ロームなど電力半導体やPMICを持つ大手はいるが、PowerLatticeのように『電力をチップレット化してパッケージ内で完結させ、データセンター級の電力問題を根本から変える』ことに特化したスタートアップはほとんど見当たらない。日本の既存勢は信頼性と製造力で強いが、破壊的なパッケージ設計とスピードで先行する新興勢に対抗できるベンチャーは不足している。ここはベンチャーが一気に覇権を取れる熱い勝負場だ。

日本のクラウド事業者とAI投資は急拡大中で、電力コスト＝CO2排出を劇的に下げられる技術は即座に市場価値になる。PowerLatticeの発想を日本で具現化するには、国内クラウド事業者や半導体設計ベンチャーと共同でプロトタイプを作り、データセンターでの実証を高速に回すことだ。製造を国内に落とし込み、冷却やパッケージングとセットで最適化すれば、電力効率で世界に対抗できる国産ソリューションが生まれる。要は『電力の物理的距離を縮める』発想を日本で先取りしろ──遅れは許されない。